宮本は地方を回って調査ならぬ生活指導をした。佐渡島で宮本は八珍柿の栽培を指導した。その指導の席の宮本を農業改良センター支部長の信田敬は、

誰の意見にもニコニコと耳を傾けるやさしい一面と、平気で村人を怒鳴りつける恐ろしい一面の両方を見ている。

「宮本先生は集まりのはじめには必ず、村の恥部を仮借なくえぐりだすことをいって村人をシーンとさせるんです。たとえば、この村の人口が安定しているのは昔から間引きが多かったからだ、などと平気でいう。そのアジテーションのうまさはヒットラーなみで、私も体がふるえてくるような興奮を何度も経験しました。でも、村人たちは宮本先生がそこまで村のことを深く考えてくれているからこそ、そんな文句も出るんだということを本能的に知っているんですね。集会はいつも私語もしわぶきも聞こえず、たいへんな熱気でした」

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